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雨宮勇徒の研究室エッセイの部屋[教育問題・危機管理]危機管理[東海地震対策・原子力]

体外・体内被曝


事故が起きなくても私たちは自然界から被曝を受けています。宇宙や地上の放射性同位体から体外被曝を、食物の中に含まれる放射性同位体から体外被曝を受けているのです。その被曝量は2ミリシーベルト程度です。

ここでは線量の程度で人体にどう影響を与えるか述べていきます。

人体に関して確定的影響と確率的影響があります。また被曝直後か短期間に現れる早発性(急性)障害と、数年〜数十年後に現れる晩発性(慢性)障害にも分けられます。

確率的障害は発ガンと遺伝的影響の現れる確率が浴びる線量に応じて増加する特徴があります。放射線の浴び方や障害の大小に線量が関係ないのです。放射線を浴びれば浴びるほど、自然に発生するよりも高くなるわけです。

確定的影響はある一定量浴びないと症状は出ません。線量が増えれば障害は重症になる特徴があります。一定量一時期に浴びなければ放射線による症状は現れないことになります。

人体の各部位で放射線の影響の受けやすさは異なります。細胞ごとに放射線感受性が違い、これが高いほど障害を受けやすくなります。増殖能力が高く分化の程度が低いほど感受性が高くなっています。胎児が放射線の影響を受けやすいのはこのためです。体の部位で言うと、造血組織、生殖腺、皮膚表皮の基底層、小腸上皮、水晶体などが感受性が高いのです。

次に体外被曝について述べます。透過力の高いγ線や中性子線は皮膚を通り抜け、体内まで届きます。体内には放射線感受性の高い造血組織や胃腸があり、生命維持に欠かせないため、電離作用の高く皮膚までしか届かないα線やβ線よりも危険なのです。またα線などは飛距離が短いため、人体の近くに線源となる同位体がなければ驚異ではありません。遮蔽も簡単にできます。その点γ線などは長い飛距離を持っていて遮蔽も難しいので、注意する必要があります。

それではどの程度の放射線量を浴びると人体に障害が現れるのか具体的に挙げておきます。250ミリシーベルト以下では臨床症状が確認されていません。ここで述べる症状はあくまで急性障害の話です。500ミリシーベルトでリンパ球の一時的減少。1000ミリシーベルト(1シーベルト)で10%の人が悪心・嘔吐。1500ミリシーベルトで半数の人が放射線宿酔(二日酔い症状)。2シーベルトで長期的な白血球の減少。3〜4シーベルトで30日以内に半数の人が死亡。8〜10シーベルトで30日以内に死亡。これらは全身被曝です。局部被曝の場合は、2シーベルトで水晶体混濁。3シーベルトで脱毛。5シーベルトで紅斑。8シーベルトで生殖不能などです。

次は体内被曝についてです。放射性物質が傷口や呼吸器、消火器から体内に入り、血液を介して特定器官へと移動していきます。電離作用の強いα線やβ線を出す同位体が驚異であることは言うまでもありません。

体内に同位体があるかぎり放射線を出します。これは代謝によって体外に排出されます。体内の放射性物質が半分になるまでの時間を有効半減期といいます。有効半減期は物理的半減期と生物的半減期が関係しています。物理的半減期は以前プルトニウムやウランの際に説明した半減期です。生物的半減期はその物質をどれだけの時間で半分の量にまで減るかを示しています。

半減期の例を挙げておきます。セシウム137:物理的半減期30年、生物的半減期100日、有効半減期99日。ヨウ素131:8日、120日、7.5日。ウラン238:44億6800万年、300日、300日。プルトニウム239:2万4100年、100年、100年。

同位体には特定の器官に集まる特性があります。ストロンチウム90やラジウム226は骨、ラドン222は肺、セシウム137は筋肉や全身、ヨウ素131は甲状腺、ウラン238は骨、プルトニウム239は骨・肝臓・肺に集まります。

各同位体で吸収のされやすさが異なります。消化管から血液の場合ですと、ヨウ素131は血液に100%、血液から特定器官(甲状腺)へ30%となっています。ほかの同位体では、ラジウム226は30%、99%。ウラン238は0.01%以下、85%です。

参考文献

危機管理[東海地震対策・原子力]

雨宮勇徒の研究室[教育・東海地震対策・原子力]